2015年3月10日
大学勤務のとき苦労した一症例.初診の時,インプラントは入っていたけれど義歯はインプラントに関係ない状態になっていました.なので,バーシステムを組みなおしてインプラントオーバーデンチャーにして維持させようと考えたのですが,ごらんのようなすれ違いだし,下顎の臼歯部はえぐれるような骨吸収です.バーシステムで義歯の安定を図ろうとしたが,逆に義歯回転の支点が高い位置にきて,後方垂直回転運動が生じて落ち着かせるのに相当期間を費やしました.しかし,おかげさまでこの症例から本当にたくさんのことを学ばさせていただきました.その方が,ひょっこりお見えになった.丁寧に作り上げた基底面がぐずぐずになっており,ちょっとがっかりしましたが,私には,どうすればよいか方向性はわかっているので,クリップをそのとおりに付け替えると,うそのように楽になりました.そしてあとは再度基底面を粘膜面に調和した形態に戻すべく治療を再開しました.もともと,私の入れたインプラントではないのですが,使えそうなインプラントがあるのにほったらかしになっていたので,使って安定させようと色気を出して苦労しましたが,でも,やっぱりなかったらもっと大変だったと思います.ご高齢の方にとって使い慣れた義歯は本当に大切です.それら
をちょっとした勘所で修正するのも補綴専門医としての腕の見せ所です.マイナーチェンジで見違えるようになります.報告は近日中にできると思います.
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