2015年6月19日
もう何十年も前のことですが,インプラントについての講演会でとある高名な外人講師が,骨の質が悪くてインプラントががっちりくっつくのに不利な場合についてTime is best friend.,治癒期間をしっかりとりなさいという意味で言ったのですが,ホントにそう感じます.
まったく骨のなかった上あごの奥歯に4本のインプラントを埋入する手術をたった今,終了いたしました.骨造成手術をしてそれが,ある程度かたまるまで,しばらく待っての手術で,昨今の今日すぐにでも手術できます,噛めますという即時の技術からすれば,真逆なのですが,手術を行うまでの数か月,歯が入るまでの数か月をショートカットすることと,かめるように治療が完了してからずっと何事もなく使っていただく,今後の何年,何十年を天秤にかけた場合,いたずらになんでも焦ってショートカットするのがいいのか??もちろん,条件が許せば,症例によっては「即時」の適用も可能ですが,今日のような場合,「時は親友」を思い出すのです.おひとりお一人の状態をきちんと診断し,それに見合った治療法を適切に提供していくこと,それが当院のコンセプトでもあります.奇をてらわず,地道に,最善の方法で治療を進めていくことが大切だと思っています.
2015年3月29日
最近は皆さん金の歯よりも白い歯の治療を希望されます.白い歯で美しく,口元のおしゃれいいと思います.
しかし,近頃ひとつ思うこと,何でもかんでも白い材料,白い材料となっていって,虫歯がきちんととりきれてない上にしろい詰め物がしてあるっていうの・・・.
虫歯が神経近くまで進んでいる場合,セメントなどで深い部分を埋めるのですが,歯と似通った色の材料を用いることが増えていて,「くさいものに蓋」になっていると,下の虫歯を見逃してしまうことがあります.また,神経の治療をしたところにも,硬い歯と同じ色の材料をぎゅうぎゅうつめてあるんだけど,その下で化膿してる・・・・とか,神経まで近いときは敢えて全部とりきらず,神経を温存する場合もあるのですが,そうでない取り残しはしたくないですね.きちんと,虫歯を取ったあとは,わかりやすく,敢えて,色が歯と違う色のセメントを使うとか・・・.神経を温存しつつ,きちんとむし歯をとるのも結構大変な作業です.歯科治療は精密を極めるので,本当に時間はいくらあっても足りないです.パパぁーと早くやって終わった方が上手いって思われるかも知れないですけど,丁寧にていねいに・・・やるほうが大変だと思う毎日です.ほら,このむし歯もこんなに深いんです.
2015年3月15日
インプラントの歯の種類にはいくつか種類があります.先の写真の真ん中の2本にはなんだか穴がついている部分ありますね.後の写真の左から2本目はインプラントですが,穴はありません.どちらが良いかはその都度相談して決めています.これは,つける方式の違いで「ネジ止め」するか「セメント」でつけるか?の違いです.外れるということが,良い場合と,外れてしまうのが不利益の時と,ものは見方によってまったく違った感情をもたらします.インプラントをしたところが,最近なんだか変・・・って時,何か炎症がないか,つけた歯をちょっと外してチェックして洗浄したらよくなった,というときと,出先で食事中にフランスパンをかじったら歯がとれちゃいましたというのではまったく感情が違いますよね.だから,難しい.とれて欲しいときにはとれず,とれて欲しくないときにとれるが,往々でして歯科医なかせ・・・・.しかし,長期的なこと考えると,外したいときに外せて,ちょっとした破折などは再修理できるのでネジのほうが安心って言うのは,患者様思いの歯科医としては思うのです.患者様は,高額な治療費がかかっても,もとあった歯よりも美しい,パーフェクトな審美を求める方もいらっしゃるので,スクリューの穴はいやという方も・・・.どちらにも一長一短あり,選択はとても「哲学的」でさえあります.
コスト中心で考えると,この写真はいずれも専門的に見てコスト高なんですが・・・・,巷間でやすかろ・・・って設計のインプラントの歯を見ることはありますが,当院は,ケースに応じて最良の方法を選択するようにしています.疑問があれば遠慮せず聞いてください.
2015年3月14日
右上奥の銀歯2本.ここは保険の銀歯でと,削って,型どりして・・・,技工指示書(製作する技工士さんに情報をつたえる)に,注意事項やこういう風に作って欲しいという指示をだしてできてきたのが上の銀歯2本.当院スタッフは「オカリナ」と呼んでいました.悩みますね・・・.この形態のクラウンを入れることによってさらに,ものが挟まったりと悪影響を及ぼすでしょう.しかし,保険の現状を見ると,保険適用の金銀パラジウム合金は高騰を続け,逆ザヤ状態(保険点数より購入価格の単価の方が高い).そんな保険治療なんだから,「仕方ないんだよ」という業界話もなくはない.製作する技工士が悪いのか・・・いやいや,彼らも寝ないでやっても単価は気の毒な程度.確かにこのケース,条件的に難しいのもわかる.つまり,保険の限界ってこんなこともあるわけです.患者様にはご説明いただいて,できればこれは装着したくない.もっと手をかけてきちんとしたものを提供したいとご説明し,結局やり直したのが,下の歯です.何とか形になった.金属に置き換える前のワックスアップで試適し冠の形態を歯肉に合わせたし,実際に口の中で1ヶ月ほど使ってもらって,かみ合わせOKも確認して,最終的に接着しました.保険か自費か?材質だけの違いでなく,治療過程でかける手間も作る技工士も違うし,技工士の手間も技術もまったく違って,結果もこれほど違うという典型ですね.
2015年3月13日
当院の診療スペースには,半個室3台(紫),完全個室2台(グレー),オペ室1台(茶)の計6台の診療ユニットがあります.いすの色は敢えて,変えていますが,どのユニットもみな同じスペックなのです.通常の歯科医院では特診室に1台導入しようかという,歯科業界の中でも,すごいハイスペックな診療台(ユニット)です.さらに,口腔内を照らすライト,足元にコードが横たわらないコードレスフットスイッチ,一台に一台備え付けられている,超音波のスケーラーなどのオプションもすべてに搭載して,清水の舞台から3,4回は飛び降りたつもりで,どのユニットにも差はつけませんでした.院長のマシンだけいいなんてことはないんです.それは歯科ユニットが患者様お一人お一人にもっとも貢献できると思ったからです.KaVoE70ってユニットなんですが,これが,一挙に6台入ったのは全国でも当院だけです.うがいの水には消毒システムが作用していたり,本当に優れものです.治療椅子なんて皆様にはどれも同じように思えるでしょうが,車に,軽車両から高級外車まであるように,かなりの違いがあります.ちょっとだけ,自慢です.そして,気づかれないところに,金をかけるなんて無駄という現実主義の方も多いかもしれませんが,毎回毎回来院のたびに皆様にはお座りいただき,ドクターは快適に正確な治療ができるための欠かせないツールと考えています.これを毎日使ったらもうほかには戻れない.そのくらいの違いがあります.
2015年3月12日
親知らずがいたくて,仕事にも集中できないと急患来院.まずは痛みから解放して差しあげたいところ.上あごの親知らずを抜いてほしいのだけなら,すぐに完了できるのだが・・・,口の中を診査してみると,親知らずだけでない,その前の歯が大きな虫歯で痛みはどっちから???って感じ.予約診療している中で,急にこの処置をとなると,ちょっと大変.今日は薬を飲んでもらって,予約を・・・というのが,通常の流れか?当院では複数のベテラン歯科医師がおりますので,汚れのチェックお掃除,根管治療,親知らずの抜歯まで,なんとかその日のうちに処置することができました.なのに,痛くなったらもう予約は無断キャンセル.このような急患ですと,予約の方に少しお待ちいたくことにもなり,本当に申し訳ない気持ちです.皆様の大切な時間をいただくことによって治療ができたのに・・・ね.右側の奥歯は上下で残存している歯がかみ合っているところなくなりました.はっきり言ってこのまま放置したら,近い将来,入れ歯になること間違いなしなんですが・・・.そんな心配するだけ無駄か・・・・はぁあ.
2015年3月12日
今週のインプラント手術もガイド手術でした.先の黄色,赤で示した写真が術前CTからインプラント設計用のソフトウェアを用いてパソコン上でシミュレーションした設計です.それを,前のブログでも説明した,ガイドを用いて患者様にインプラント手術を行った結果のX線写真が2枚目の白黒のものです.X線には必ずのゆがみはあるのですが,プランニング通りにインプラントが設置されたのがわかります.口の中は本当に見づらく,わかっていてもそこにアクセスできないなど,いくら経験をつもうが,何の頼りもなく寸分たがわず,正確にインプラントを位置づけるのは至難の業なのです.現在,このCTとプランニングソフトウェアと精密ガイドのテクノロジーを応用することが,もっとも確実なインプラントポジションを約束します.多くの歯科医院でインプラントを手がける昨今ですが,症例をこなしている歯科医院,歯科医師ほどこの技術を推奨しています.インプラントは保険が利かないので少しでも安くというお気持ちはわかります.しかし,インプラントはご自身の体の一部になるものです.自分の体です,万が一にも失敗のないよう,少しでもいいものを提供したいというのが私の気持ちです.
2015年3月10日
大学勤務のとき苦労した一症例.初診の時,インプラントは入っていたけれど義歯はインプラントに関係ない状態になっていました.なので,バーシステムを組みなおしてインプラントオーバーデンチャーにして維持させようと考えたのですが,ごらんのようなすれ違いだし,下顎の臼歯部はえぐれるような骨吸収です.バーシステムで義歯の安定を図ろうとしたが,逆に義歯回転の支点が高い位置にきて,後方垂直回転運動が生じて落ち着かせるのに相当期間を費やしました.しかし,おかげさまでこの症例から本当にたくさんのことを学ばさせていただきました.その方が,ひょっこりお見えになった.丁寧に作り上げた基底面がぐずぐずになっており,ちょっとがっかりしましたが,私には,どうすればよいか方向性はわかっているので,クリップをそのとおりに付け替えると,うそのように楽になりました.そしてあとは再度基底面を粘膜面に調和した形態に戻すべく治療を再開しました.もともと,私の入れたインプラントではないのですが,使えそうなインプラントがあるのにほったらかしになっていたので,使って安定させようと色気を出して苦労しましたが,でも,やっぱりなかったらもっと大変だったと思います.ご高齢の方にとって使い慣れた義歯は本当に大切です.それらをちょっとした勘所で修正するのも補綴専門医としての腕の見せ所です.マイナーチェンジで見違えるようになります.報告は近日中にできると思います.
2015年3月9日
口の中に口内炎がたくさんできて痛くて来院.診ると,小唾液腺の開口部付近に左右とも潰瘍あり,まさに今,痛そうな時期.単に,機械的な傷としてできたのか,何か疲れや,ビタミンの不足,または,再発性アフタなのかなど,確定診断にはもうすこし経過を診る必要がある.しかし,今の痛みにはどう対処する・・・・って時.昔は「硝酸銀で焼く」みたいな荒っぽい治療があったけど,今はスマートにレーザー治療ができます.レーザー治療って皮膚科ではしみやホクロをとるのに使いますよね.ワンショットいくらって・・・結構いい値段すると思いますが,歯科では保険算定できる点数,項目はないってご存知でしたか?当院では,インプラント手術をはじめとし埋伏智歯の抜歯,歯周外科,根管治療のための外科処置などなど,いわゆる手術系もよくおこないますので,術後の粘膜,歯肉の傷の治癒促進のためにレーザーはよく使います.炭酸ガスレーザー(シルバー)とEr-YAGレーザー(紫色)の2台を完備しています.特に後者は重くて動かすのも一苦労ですが,もう,たびたび使っちゃってますが,ほとんど無料なんです.「レーザー」ってオーダーしたときにYAGの方だとスタッフの顔が曇るぐらい重いです.2週間ほど炭酸ガスレーザーがオーバーホールにでていて不便しましたが,戻ってきていて,この口内炎にも使えました.レーザー代はないんですけど・・・.口の中は非常に敏感ですからちょっとした炎症でも痛く感じますよね.そんな時,レーザーで痛みを和らげることができます.
2015年3月9日
夏に先の写真のようにインプラントの手術をしましたが,抜歯即時埋入あり,骨造成もありで,じっくり熟成するのを待って丁寧に治療を続けてまいりました.ここにきて最後だけは,もし2月末に間に合うならとのご要望を伺い,それにお応えして,やっとインプラントに歯が入りました.大切な方々との会合やら,会食やらご多忙の毎日の中,新しい歯の具合は?と心配しつつ,これまでも長くかかりましたが,これからのメインテナンスの方が長いお付き合いになります.費用も期間も相応のご負担をいただいていますので,私どもの責務として,ずっと快適に使って欲しいですから,これまでにもまして,丁寧にしっかり管理してまいります.